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2011年9月21日水曜日

生活保護を受ける薬物依存症者へのNA(ナルコティクスアノニマス)参加移送費に関して

 平成10年5月に総務省の勧告を受けて、厚生労働省は平成11年3月に、民間リハビリテーション施設に通う生活保護者の通所費用について、支給要件を明確化したが、それは不十分なものであった。これは薬物依存症者への自立のため必要かつ有効であると認められるとして民間リハビリテーションセンター(いわゆるダルク)への通所移送費は支給されることとなったが、NAの参加移送費支給については明確化されることはなかった。

 これまでアルコール依存症に関しては断酒会等に参加するための交通費支給は「局第7-2(7)ア-(セ)a」に基づいて支給されていた。この中でアルコール依存症者が「断酒を目的とする団体」への参加ということで断酒会だけではなくAA(アルコホーリクス・アノニマス)への移送費も支給されていた。しかし、薬物依存症者がNAの参加するための移送費は基本的に支給されていなかった。一部の福祉事務所や担当者、医療関係者の積極的な自立支援や取り組みにおいて、薬物依存症はアルコール依存も含み、NAがアルコールも薬物の一種と捉え断酒を実践している団体であり、当事者の断酒、断薬に必要かつ有効であることから移送費の支給がなされてきた。ちなみに私自身9年間生活保護を受けていたが今述べたような解釈において支給されてきた。私自身の自立や社会復帰に大きな役割を果たして下さった。この場を借りて感謝を申し上げます。これは今も京都市や大阪市を含む多くの自治体でこのような運用がなされている。この報告において支給決定がなされている福祉事務所で支給中止にならない事を切に願う。

 平成11年に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成11年法律第65号)により,覚せい剤慢性中毒者に関する準用規定(44条)が廃止されるとともに、依存症者が精神障害者に含まれることが明確化された。 よって覚せい剤慢性中毒者を精神保健福祉法の対象外とするものではないことに留意し、これまで精神医療・福祉行政の対応で中途半端であった薬物依存症を医療・福祉の援助対象として明確に位置付けた。総務省の勧告もあり薬物依存症者がダルクへ通所するための移送費が支給されていくようにはなったがNA参加のための移送費は明文化されなかった。

 しかし、この事はいまだ生活保護行政において薬物依存症がアルコール依存症と同等の取り扱いをされておらず疾病差別を受けているのではないと考える。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が改正されて10年を過ぎたがそれに合わせて関連法令も整備されてよいはずだが、今回ご報告の移送費に関しての国の対応は理解しがたい。特に地方都市において、NA参加移送費が支給されない取り扱いが多い。

 後に平成18年に国会においてもこの問題が指摘されたが、意図的なのか、単なる知識不足なのか、質問と回答にずれがあり、自助グループ(NA)と民間リハビリテーションセンター(ダルク)を混同して回答をしているように思われる。このやり取りは、質問をした前原議員も回答をした政府も質問の内容をよく存じていないのか、どこからか依頼を受けた国会質問であったせいなのか、受けた回答以降踏み込んだやり取りは無いようだ。 

 ぜひ、皆さんにこの現状を知っていただき生活保護を受ける薬物依存症者が自立や回復のために必要かつ有効であるNA参加のために移送費が支給されることになるようにお力をお貸しいただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

― 参考資料 ―
― 生活保護の実施要領 ―
局第7-2
(7) 移送費
ア  移送は、次のいずれかに該当する場合において、他に経費を支出する方法がないときに乗車船券を交付する等なるべく現物給付の方法によって行なうこととし、移送費の範囲は、(ケ)又は(サ)において別に定めるもののほか、必要最小限度の交通費、宿泊料及び飲食物費の額とすること。
この場合、(ア)若しくは(イ)に該当する場合であって実施機関の委託により使役する者があるとき、(ウ)、(オ)、(コ)若しくは(シ)に該当する場合であって付添者を必要とするとき又は(エ)に該当する場合の被扶養者にあっては、その者に要する交通費、宿泊料及び飲食物費並びに日当(実施機関の委託により使役する者について必要がある場合に限る。)についても同様の取扱いとすること。
(イ)から(ス)は省略
(セ) 次のいずれかに該当する場合であってそれがその世帯の自立のため必要かつ有効である
と認められるとき。
a アルコール症若しくはその既往のある者又はその同一世帯員が、断酒を目的とする団体(以下「断酒会」という。)の活動を継続的に活用する場合
b アルコール症又はその既往のある者(同伴する同一世帯員を含む。)が、断酒会の実施する2泊3日以内の宿泊研修会(原則として当該都道府県内に限る。)に参加する場合
c 精神保健福祉センター、保健所等において精神保健福祉業務として行われる社会復帰相談指導事業等の対象者又はその同一世帯員が、その事業を継続的に活用する場合

― 国会での質問と回答 ―
平成十八年十二月十二日提出
質問第二三七号
薬物乱用及び再犯防止対策と治療回復支援に関する質問主意書
提出者  前原誠司


ダルク施設入所者の多くが、生活保護費を受給しながら回復プログラムに取り組んでいる。生活保護手帳の中の、第六最低生活費の認定の中の三臨時的一般生活費の(セ)a「アルコール症若しくはその既往のある者又はその同一世帯員が、断酒を目的とする団体の活動を継続的に活用する場合」とあるが、薬物依存症が自助グループに参加するための移送費は明記されておらず、多くの自治体では移送費が支給されない。移送費支給の対象とするよう認定要件の見直しを求めるが、政府の見解は如何。

平成十八年十二月二十二日受領
答弁第二三七号
内閣衆質一六五第二三七号
平成十八年十二月二十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員前原誠司君提出薬物乱用及び再犯防止対策と治療回復支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

三について
御指摘のとおり「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和三十八年四月一日付け社発第二百四十六号厚生省社会局長通知)においては「薬物依存症者」がいわゆる自助グループに参加するための移送費の支給について明記されていないが、当該グループの活動が民間活動として行われるものであっても、国又は地方公共団体から当該活動に対し補助が行われている等の場合で社会復帰に効果が期待できると認められる場合には、当該グループに参加する「薬物依存症者」は、同通知の第六の二の(七)のアの(セ)のcの社会復帰相談指導事業等の対象者に該当し、移送費の支給の対象となるものであり、地方公共団体に対してその旨の周知を図っているところである。

加藤

2011年3月9日水曜日

同じ空の下 Under the same sky 薬物依存症との闘い。


誰でも薬局で買える市販薬の「咳止めシロップ」で、まさか「薬物依存症」になるなんて、当時は知らなかったし、誰も教えてくれなかった。今は、「ダルク」に繋がる事が出来て本当に良かった。回復に向かい走っているその時...

本詳細 「同じ空の下 Under the same sky 薬物依存症との闘い。」
無料で読める電子書籍 モッテコ書店

2011年3月4日金曜日

ひとに まちに ありがとう 京都のためのチャリティキャンペーン

カンパイチャリティとは?

「カンパイ!」が社会貢献に。
キャンペーン期間内に協賛店舗が提供する「カンパイチャリティメニュー」を注文すると、販売額の一部がチャリティ(寄付)として京都のNPO・市民活動団体に届けられ、暮らしやすい豊かな地域社会づくりに役立てられるチャリティシステムです。

"KANPAI" for smiles
「あなたのカンパイが、まちの笑顔に生まれ変わる」をテーマに公益財団法人京都地域創造基金が、京都の飲食店とともに実施する京都発で日本初の地域展開型チャリティキャンペーンです。

京都の飲食店でカンパイ、食事をすることで、「お店」も
「まち」もよりよく元気にしていくことを目指しています。

カンパイチャリティ詳細(京都地域創造基金)

串だいにんぐ浪漫家 藤森店
キャンペーン期間:3月4日〜4月17日
メニュー ハイボール全品
寄付額 1杯につき20円
寄付先 薬物乱用・依存防止のための学校講演事業[京都DARC]
店舗情報 住所:京都市伏見区深草キトロ町33-10
電話:075-645-1700
ホームページ:http://www.romanya.jp/shop/fuji/index.htm

居酒屋 だがしやさん
キャンペーン期間:3月4日〜4月
メニュー 愛のおまかせセット(1,500円)
寄付額 1セットにつき100円
寄付先 青少年の薬物乱用・依存防止(学校講演)事業 [NPO法人京都DARC]
薬物依存症者の家族心理ケア事業 [NPO法人京都DARC]
店舗情報 住所:京都市伏見区深草西浦町7丁目67
電話:075-646-3334

2011年3月3日木曜日

さよならスマイルさん ~放蕩息子の帰宅~


さよならスマイルさん 
~放蕩息子の帰宅~
石塚伸一(龍谷大学)

2011年3月1日、スマイルさんの訃報に接した。御殿場の施設で亡くなったとのことで、清潔なベッドの上での安らかな死だったそうだ。おそらく年齢は70歳になろうとしていたはずだ。

【スマイルさんとの出会い】 
わたしがスマイルさんとはじめて会ったのは、NHKの朝の連ドラで「ふたりっこ」をやっていたころだった。1996年10月から翌97年の放送であるから、そのころであろう。ストーリーは、大阪の下町で丙午の年に生まれた双子の麗子と香子の成長と彼女らを取り巻く人たちの人間模様を描いたもので、売れない歌手のオーロラ輝子や賭け将棋を生業とする真剣師の銀じい(佐伯銀蔵)など個性的な人物が織りなすドラマで、双子の子役マナカナが人気をはくした。

8時15分から15分間の放映で、当時、北九州に住んでいたわたしは、子どもたちと朝ごはんを食べながら連続ドラを見るのが日常的習慣になっていた。ときに箸を止め、この罪のないドラマを見るのが朝のいつもの風景であった。

それは、毎日といっていいだろう。エンディングの音楽が流れ、それが終わるかおわらないかのタイミングで電話の音が鳴る。電話の先はスマイルさん。話の内容は、いい物件があるから借りたいとか、支援をしてくれるという人がいるとか、新しくダルクをつくるとか、景気のいい話のオンパレード。そして最後はいつも、来月になれば大金が入るから、それまで部屋代や水道料金が何とかならないかと金の無心。妻1人、子ども2人のしがない公立大学の教師には、到底お金の都合などつくはずもなく、みんなにチャリティーを呼び掛けたり、講演会をしてカンパを集めたりのお手伝いをするくらいしかできなかった。それでも、スマイルさんは、毎朝、エンディングの前になると電話を掛けてきた。「ふたりっこ」のファンだと言ったことがあるので、邪魔しちゃいけないと思って、電話の向こうでいまかいまかとエンディングの音楽が終わるのを待っていたのだろう。

【研究者やめますか?大学やめますか?】 
その頃わたしといえば、もう大学を辞めて何か違う仕事を探そうかと考えていた。1992年から93年にかけてドイツに留学し、社会治療という刑事処分について調査研究し、被収容者の自己決定を基盤として、社会復帰の支援をする新たな刑事制裁の在り方を模索していた。しかし、そこには大きな壁がそそり立っていた。

刑罰が人の犯罪行為に対する制裁であるということは誰も否定しない。しかし、その執行については、ただ苦痛を課すだけでなく、その人の改善更生・社会復帰に役立つもののほうがいいような気がする。刑罰的害悪を付加については責任に対する制裁であるということで説明できるが、改善更生を強制する根拠は一体なんなのか。

改善という以上、「善」すなわち、正しい方向にむけて変わることが求められるわけだが、何が善なのかはかならずしも明確ではない。ある時代、ある場所では善であったことが、ある日突然、悪になることがある。お国のためと敵を殺して勲章をもらっていた人が、敗戦によって犯罪人になるのである。戦前の少年刑務所では、窃盗や暴行をはたらいた少年たちと一緒に社会主義運動に傾倒する少年が収容され、「愚かにも国体に反するような思想を信じたこと」を反省させる作文を遷善更生のために書かせていた。

こう考えてくると、改善更生は強制できないのではないかということになる。さりとて、刑罰は最低限度の害悪の付加であるから、刑務所に拘禁して移動の自由を奪うだけで、服役中の毎日を無為に過ごすことは人間の本性に反しているように思う。外にいれば、善いと思うことも、悪いと思うことも繰り返し、反省しながら、人は成長していく。失敗は成功のもと。つぎのチャレンジへの布石である。

「自由の拘束をできるだけ縮減しながら、他方で社会復帰に向けての支援を保証する」そのような論理構成はありえないのか。これがわたしの前に立ちふさがる大きな壁であった。

【黄昏のブタペスト】 
その解答は、黄昏のハンガリーのブタペストの街を歩いているときに降りてきた。すなわち、

自由刑の刑罰内容は身体の現実的移動の制限に尽きる。しかし、人間は拘禁されていなければ、限りない自己啓発(Selbstentfaltung)――ギシギシ巻かれた発条(ぜんまい)が爆(は)ぜるときの様子を想起せよ。――の可能性をもっている。しかし、拘禁されていることでその可能性が奪われてしまっている。そこで、本来の刑罰内容である拘禁に伴う弊害を可及的に排除し、埋め合わせをするため国は、受刑者を支援しなければならない。受刑者には社会復帰をする権利があり、国にはそれを支援する義務がある。

このようにして難問は、一瞬で解決した。ところが、それはあくまでの理論的な話で、現実にこのようなことを実行できるかが問題になる。

ドイツ憲法――基本法という。――には「社会的法治国家原則」というものがあって、「レーバッハ判決Lebach-Urteil」という連邦憲法裁判所の判決が、犯罪をおかしてしまった人と社会との関係については明らかにしている。すなわち、

犯罪をおかした人もまた、人間の尊厳に由来する基本権の担い手として、みずからの刑を務めたのちは、再び共同体の中でみずからを位置付ける機会を与えられなければならない。社会復帰――ドイツでは、再社会化というのは一般である。――は、これを行為者の側から見れば、基本法1条に拘束された同第2条1項から生ずるも個人の利益である。他方で、これを社会の側から見れば、社会国家原則は、人格の弱さや行為責任、能力の不足や社会的差別によって人格的および社会的な成長発達が妨げられている社会的諸集団に対して、国が配慮し、保護することを求めているということを意味する。受刑者や刑余者もこの例外ではない。したがって、犯罪をおかした人の社会復帰は、社会それ自体の保護にも役立っているのである。つまり、行為者が再び犯罪をおかさないということは、共同体とその構成員に新たな損害を与えないということである。その意味では、社会自体が、受刑者の社会復帰によって直接的な利益を得ていることになる(BVerfGE 35,236)。

ところが、日本にはこのような憲法原則がない。平等原則や幸福追求権、教育を受ける権利や勤労の権利その他の社会権条項から社会復帰の権利を論理的・体系的に導き出すことになる。 

現実はもっと厳しかった。ドイツのようにソーシャルワーカーや心理療法士、社会教育者のポストが刑務所の中にも常勤職として配備されている国とは異なり、日本ではその足場がない。本人の自由な意思を尊重するといっても――『被収容者処遇法』第30条は「受刑者の処遇は、その者の資質および環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起および社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うものとする」と規定する。――、プログラムの企画や情報の提供、受講の働きかけがなければ、社会復帰の意志は芽生えず、理念は絵に描いた餅に終わる。日本では、社会復帰処遇は、到底、不可能だと思い込み、悲嘆に暮れていた。

【スマイルさん登場】 
そこに登場したのがスマイルさんだった。クスリを止めて10年以上になるが、いまでも自分は回復途上、依存症が完治したわけではない。ミーティングと仲間の存在がクスリを止めてくれているにすぎないとみずからを語る。ミーティングの場を増やし、回復したいと思っている仲間を支援するためにお金を集め、つぎつぎとダルクを立ち上げる。彼こそが、自分の意志で回復のために頑張る「セルフヘルプ」のモデルだと思った。そうであれば、わたし個人も、地域社会も、そして政府も、彼らを支援する義務があると考えた。

そして、北九州にはダルクができた。シンナー乱用の発祥地などといわれ、薬物中毒・依存に効く薬はないと諦めていた人たちが回復への希望をもちはじめた。そう、ダルクができて地域が明るくなったのである。
 
新約聖書の「ルカによる福音書」第15章は、厳格なユダヤ教の律法を守れない人たちを蔑んだファリサイ派の律法学者にキリストが反論する姿が描かれている。キリストは3つのたとえ話をする。1つめは見失った羊が戻ってくる話、2つめは銀貨を無くした女がそれを見つける話、最後は放蕩の限りを尽くして落ちぶれて帰ってきた息子の話である。

画家レンブラントは、その晩年に「放蕩息子の帰宅」という絵を描いている。すなわち、

ある人に息子が二人いた。弟の方が父に財産を生前に分け与えるよう頼み、父はそれに応じた。弟は家を飛び出し、浪費と贅沢の末に財産を無駄遣いしてしまった。弟は自分の行為を悔やみ、恥を忍んで父の元に帰る。すると弟を迎えた父は盛大に息子の帰宅を喜んで祝う。それを見た兄は父に不満を訴えた。父親は言った。

「子よ、お前はいつもわたしと一緒にいる。わたしのものは全部お前のものだ。だが、お前のあの弟は死んでいたのに生き返った。いなくなっていたのに見つかったのだ。祝宴を開いて楽しみ喜ぶのは当たり前ではないか。」(第15章31-32節)。

一度は、もうわたしたちのもとに戻ってこないだろうと思った薬物中毒・依存の人たちが、社会に戻ってきて、みんなの手助けをしている。彼らの回復は、当事者自身のためだけではなく、周囲の人たちにも大きな喜びと希望を与えている。

わたしも、喜びと希望を与えてもらいました。研究を止めてしまおうかと迷っていたときにスマイルさんに助けてもらいました。いまも、大学で研究をつづけています。
 
スマさん。本当にありがとうございました。安らかにお休みください。

(追記) レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン(Rembrandt Harmenszoon van Rijn)は、「放蕩息子の帰宅 "The Return of the Prodigal Son"」を自らの息子ティトゥスを失った1668~69年頃に描いたという。そして、彼自身は、その翌年に世を去った。その絵は、サンクト・ペテルブルグ、エルミタージュ美術館に所蔵されているとのことである。

2011年3月3日 風花の舞う深草の研究室で

2011年1月31日月曜日

薬物依存に救いの手を リハビリ施設県内開設へ 




全国にある民間の薬物1 件依存リハビリ施設「ダルク」のスタッフを務めてきた男性が、近畿圏で唯一の空白地、兵庫県での施設づくりを進めている。薬物依存から回復した当事者による生活の立て直しと再発予防の支援が目的。再犯率の高さを受け、国が総合的な薬物対策に乗り出す中、早ければ今年中にも活動を始める見込みだ。(飯田 憲)

 設立準備室を立ち上げたのは、NPO法人「京都ダルク」(京都市)の元スタッフ阪本高司1 件さん(51)=大津市。

 阪本さんもかつて薬物依存に苦しんだ。中学生のころ初めて大麻を吸った。コカインや覚せい剤にも手を出し、自制できなくなった。やがて警察の世話になり、大阪のダルクとつながった。

 そこで待っていたのは、依存者同士が集まって行うグループミーティング。過去を振り返り、今の感情を見つめる。途中で逃げ出したものの「再発は回復の一過程」と受け止めるメンバーの熱意に支えられ、38歳で薬物をやめた。

 「薬物依存症は自分の意思ではどうにもならないが、誰にでも回復のチャンスはある」と確信し、周囲への恩返しにと、ダルクのスタッフとなった。そんな中、近畿圏で唯一施設がない兵庫県内から、京都、大阪のダルクに通う依存者が多いことを知り、設立準備にかかわることになった。

 自主運営には活動資金とともに、地域の理解も欠かせない。兵庫県内では昨年1月、女子中学生の大麻所持事件が起きたばかり。関係機関との調整を続けているが、設置への期待などを感じるという。

 阪本さんは「依存症の軽い初犯者のうちに、治療やリハビリにつなぐような仕組みを築きたい」としている。

 開設に向けた募金も呼び掛けている。兵庫ダルク設立準備室TEL06・6320・1463

 【覚せい剤再犯率】2009年の犯罪白書によると、08年に覚せい剤取締法違反で摘発されたのは1万776人で、再犯率は57%。04年中に同法違反罪で執行猶予判決を受けた約520人の中で、定職者の再犯率は17%だったのに対し、無職の人は30%と高かった。また、家族や友人と同居している人より、住所不定やホームレスの人の再犯率が高かった。

 政府は昨年3月、関係省庁に▽初犯者の再乱用防止対策▽拘置所や留置場での薬物依存離脱指導‐などを勧告している。
神戸新聞(2011/01/28 15:45)

2010年12月1日水曜日

DVDビデオ ダルク 紹介


ダルク
Drug Addiction Rehabilitation Center
~薬物依存、そしてその回復とは~

私たちは薬物依存のことをどれだけ知っているだろうか…。

  なぜ彼らはクスリにはまったのか?
   クスリによって何を失ったのか?
    彼らが歩む回復への道のりとは?

PHP研究所DVD紹介ページ

監修者 [制作協力]近藤恒夫・日本ダルク本部
税込価格 36,750円
構成 DVD-VIDEO 1枚
収録時間 約100分

本DVDは、日本唯一の薬物依存症の民間リハビリ施設である「ダルク」を密着取材したドキュメンタリー作品です。
薬物依存からの回復を目指す人たちが共同生活をする、その日常をあるがままに写し取りながら、依存症当事者、回復を支援する「仲間」たち、関係者などへのインタビューを交えて、当事者の視点から薬物依存の実像に迫っていきます。


“薬物問題”が広く、深く、日本社会を覆っています。
しかし、薬物依存の現実については、あまりよく知られていないのが実情です。若者たちに蔓延する「DRUG=かっこいい」というイメージ。かたや、市民の間に根強い「依存症=危険な犯罪者」といったイメージ。そうした状況が、薬物依存症者の回復を阻み、予防対策を遅らせる原因となっているのではないでしょうか。

薬物依存の根底には、現代人の多くが抱える「生き辛さ」の問題があります。
一見、ドラッグのファッション性に憧れ、快楽に溺れているだけに見える依存症者ですが、社会にうまく適応できず、現実から逃避する手段として薬物に手を出してしまったといったケースが少なくありません。そして一度薬物依存になった人には完全治癒はなく、一生の問題として引き受けていかなければならないのです。

薬物の恐ろしさをどんな言葉で表現しても、残念ながら、人はクスリの誘惑から逃れることはできません。
本DVDは予防教育的な視点で制作されていますが、単に薬物の恐ろしさを強調するのではなく、依存症者の「生き方」に焦点を当て、「同じ過ちを犯さないために、いかに生きるか」をいうことを考えるきっかけを与えていきます。

新しい依存症のかたち「回復」 へのプログラム

ぜひ、読んでください。


新しい依存症のかたち
「回復」 へのプログラム
定価1,300 円(本体1,238 円)
ISBN978-4-7917-1220-5

『現代思想 2010年12月号』


【依存症という問い】
四十六年後の問題提起 / なだいなだ

【依存症サバイバル】
「生存戦略」 としての依存症 / 信田さよ子
薬物依存とトラウマ 女性の依存症者を中心に / 宮地尚子
痛みとアディクト / 熊谷晋一郎+綾屋紗月

【討議】
「回復」 につきあいつづける ダルクの度量 / 近藤恒夫+石塚伸一+重田園江

【依存のかたち】
自立と依存の境界侵犯 ポストアディクションの時代 / 挽地康彦
薬物依存とその精神をめぐって 処罰と治療とに響き合うもの / 佐藤哲彦
医療内アディクションと神経化学的自己 / 美馬達哉
依存から出発する正義と平等 キティ 『愛の労働あるいは依存とケアの正議論』 を読む / 牟田和恵
愛のキアスム 食の病と依存 / 野間俊一
マクドナルドにおける従業員たちの組織への密着 / エレーヌ・ヴェベール (訳=伊吹浩一)

【回復へのプログラム】
〈もう一つの知〉 アルコール依存症者たちの体験とスピリチュアリティ / 葛西賢太
ドラッグ・コート制度 / 尾田真言
同床異夢? 依存問題の当事者活動と援助職者の間で / 西村直之

【統制の論理】
主体なき責任の帰属 ドラッグ政策と診断室のカルテ / 山本奈生
日本のドラッグ政策とは何か? 刑罰を伴わない不可視な統制 / 本田宏治

【対策の功罪】
薬物乱用防止五か年戦略の成果と課題 医療化・福祉化の先にあるもの / 丸山泰弘
薬物依存症に対して社会は何ができるか / 村上友一

■研究手帖
  外骨(がいこつ)の白眼(しろめ) / 酒井隆史

■現代思想2010 総目次

2010年11月3日水曜日

最も有害な薬物はアルコール、社会的な影響も考慮 英研究


【11月2日 AFP】英政府の薬物に関する独立科学委員会(ISCD)は1日、英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に、社会的な影響も考慮すればアルコールはヘロインやクラック・コカインなどの……
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2010年9月18日土曜日

薬物依存患者支援/民間職員の研修実施へ/政府が答弁書

2010年8月10日 第175臨時国会にて、塩川てつや国会議員による薬物依存症者の治療・社会復帰の支援の充実強化に関する質問に対し答弁が行われた。

 政府が今年度中に、薬物依存患者へのリハビリ支援活動を行っている民間団体の職員を対象として依存症の基礎知識などの研修を行うことを予定し、現在実施団体の選考等の準備を進めていることが、質問主意書に対する答弁書で明らかになった。

 答弁書によると、政府は今年度、「依存症回復施設職員研修事業」を創設。依存症のリハビリ支援を行う民間団体「ダルク」等へ基礎知識のほか、薬物の身体への影響、依存症患者が利用可能な支援内容等の研修を行うとしている。

 薬物依存症をめぐっては、所持や使用の犯罪の刑期を終えて社会復帰した後のリハビリ施設等が不十分で、薬物事犯の再犯率が5割を超えるといわれている。薬物依存症関係団体などから、治療体制の整備などを求める声が上がっていた。

 政府は一昨年「第三次薬物乱用防止5か年戦略」を取りまとめ、今年7月には「薬物乱用防止戦略加速化プラン」(加速化プラン)を具体策として打ち出した。

 この間、薬物依存症のリハビリ支援を行っている団体の関係者からの要請を受け、「加速化プラン」で再犯防止の対策強化のために連携するとしている民間団体や政府の具体的活動支援の内容を質問。また、受け皿となる治療回復施設の創設・拡充についてもただした。


→質問主意書全文(PDF)
→答弁書全文(PDF)