2011年1月31日月曜日
薬物依存に救いの手を リハビリ施設県内開設へ
全国にある民間の薬物1 件依存リハビリ施設「ダルク」のスタッフを務めてきた男性が、近畿圏で唯一の空白地、兵庫県での施設づくりを進めている。薬物依存から回復した当事者による生活の立て直しと再発予防の支援が目的。再犯率の高さを受け、国が総合的な薬物対策に乗り出す中、早ければ今年中にも活動を始める見込みだ。(飯田 憲)
設立準備室を立ち上げたのは、NPO法人「京都ダルク」(京都市)の元スタッフ阪本高司1 件さん(51)=大津市。
阪本さんもかつて薬物依存に苦しんだ。中学生のころ初めて大麻を吸った。コカインや覚せい剤にも手を出し、自制できなくなった。やがて警察の世話になり、大阪のダルクとつながった。
そこで待っていたのは、依存者同士が集まって行うグループミーティング。過去を振り返り、今の感情を見つめる。途中で逃げ出したものの「再発は回復の一過程」と受け止めるメンバーの熱意に支えられ、38歳で薬物をやめた。
「薬物依存症は自分の意思ではどうにもならないが、誰にでも回復のチャンスはある」と確信し、周囲への恩返しにと、ダルクのスタッフとなった。そんな中、近畿圏で唯一施設がない兵庫県内から、京都、大阪のダルクに通う依存者が多いことを知り、設立準備にかかわることになった。
自主運営には活動資金とともに、地域の理解も欠かせない。兵庫県内では昨年1月、女子中学生の大麻所持事件が起きたばかり。関係機関との調整を続けているが、設置への期待などを感じるという。
阪本さんは「依存症の軽い初犯者のうちに、治療やリハビリにつなぐような仕組みを築きたい」としている。
開設に向けた募金も呼び掛けている。兵庫ダルク設立準備室TEL06・6320・1463
【覚せい剤再犯率】2009年の犯罪白書によると、08年に覚せい剤取締法違反で摘発されたのは1万776人で、再犯率は57%。04年中に同法違反罪で執行猶予判決を受けた約520人の中で、定職者の再犯率は17%だったのに対し、無職の人は30%と高かった。また、家族や友人と同居している人より、住所不定やホームレスの人の再犯率が高かった。
政府は昨年3月、関係省庁に▽初犯者の再乱用防止対策▽拘置所や留置場での薬物依存離脱指導‐などを勧告している。
神戸新聞(2011/01/28 15:45)
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