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2013年5月23日木曜日

依存症者の家族のためのワークショップ


 京都DARCでは、エスアールエム「いのちの基金」の助成金をいただき、この3年間の間に何回かの依存症者の家族のワークショップを開催してきました。ワークショップは、例えば「コミュニケーション」などの特定のテーマに関して講師の話や、ロールプレイ、ワーク、仲間との分かち合いを通じて、参加者が、新たな知識を得たり、それまで気づいていなかった自分に出会う場になっています。今年の3月3日には「DVとトラウマ」をテーマにワークショップを行いました。

DVとは、夫婦や恋人などの親密な関係おいて、精神的暴力、社会的暴力など様々な暴力を用い「支配―被支配」の関係を作ることをいいます。DVは、親密な関係で起こることなので「男性と女性」の関係に限り起こるというわけではありません。しかし一方で、内閣府の調査では、女性の10.6%は、これまでに配偶者からの身体的暴行、心理的攻撃、性的強要のいずれかを1つでも受けたことが「何度もあった」と答えています(平成24年度版「男女共同参画白書」)。この「10人に1人の女性がDV被害に遭っている」という現実は、(当然ながら)依存症者の家族にもあてはまると思います。

DVは、被害者の心身に「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」などの様々な影響(や症状)を及ぼします。また加害者に支配される生活のなかで、被害者は自分の身を守るために、「四六時中加害者の顔色を伺い、機嫌を損ねないようにする」「自分が思っていることは口に出さない」など、様々な「サバイバルスキル(生き延びるための術)」を身につけます。そしてDVが家庭内で日常的に起こる暴力による支配であるために、「自分が被害に遭っていること」に気が付かない被害者も多くいます。

DV被害者が「自分は被害を受けている」と自覚しているかどうかに関わらず、DV被害は、被害者の生活に多方面に影響します。そのなかに、DV被害者である「依存症者の家族」と依存症者との関係性が含まれると考えられます。例えば、『DV加害者の顔色をうかがうこと』をサバイバルスキルとして身につけているDV被害者は、依存症者をイネーブリングしないようにしていても、知らぬ間に依存症者の顔色をうかがっているかもしれません。依存症者が声を荒げると、DV被害の場面が頭に浮かぶので恐怖に身がすくんでしまい、目の前の『現在』の出来事に対処できないこともあると思います。このワークショップでは、DVの基礎知識やトラウマ症状などのDVの心身への影響をカウンセラーが説明した後に、参加者同士で分かち合いをし、参加者お1人おひとりが、自分の状態についての理解を深めました。

 

★「DVとトラウマ」ワークショップ参加のみなさんの感想★

◆泣いたり、笑ったり、感情のゆれを素直に安心して出せました。自分自身の今まで知らなかった部分を見ることが出来ました。

◆ありがとうございました。いろいろな参加者の方々の話も良かったです。それを2人の先生方の講義と方向づけで整理していただいて

◆大変勉強になりました。とても有意義な1日でした。ありがとうございました。

◆支配したい人=依存症なのかもしれず。被害者の意識がないまま、イネーブリングしてDVの支配下でまるくおさめてきたことに気がつきました。

◆たいへん勉強になりました。一人一人のお話が自分にもあてはまり共感でき、学び考えることが出来ました。自分に今何が必要なのか、何をすべきか考えた。

◆泣いたり、笑ったり、感情のゆれを素直に安心して出せました。自分自身の今まで知らなかった部分を見ることが出来ました。
◆ありがとうございました。いろいろな参加者の方々の話も良かったです。それを2人の先生方の講義と方向づけで整理していただいて
◆大変勉強になりました。とても有意義な1日でした。ありがとうございました。
◆支配したい人=依存症なのかもしれず。被害者の意識がないまま、イネーブリングしてDVの支配下でまるくおさめてきたことに気がつきました。
◆たいへん勉強になりました。一人一人のお話が自分にもあてはまり共感でき、学び考えることが出来ました。自分に今何が必要なのか、何をすべきか考えた。
 
 

 次回は、6月30日(日)の午後に、「ピンチをチャンスへ パートⅡ 『刑務所』のことを知ろう」をテーマにしたワークショップを開催予定です。依存症者のご家族のなかには、“刑務所にいったら、ちゃんとなって戻ってくる”と信じていたり、“刑務所はとてつもなく悲惨のところなのに、そんなところに入ってかわいそう”と不安や恐怖を感じている方がいらっしゃいます。このような過剰な期待や不安や恐怖は、依存症者との適切な関係作りの妨げになることもあると思います。しかし、その一方で、刑務所がどのような場所かに関する情報は非常に限られています。

 

 次回のワークショップでは、大杉光子弁護士に、逮捕されてからの司法過程についてお話ししていただき、京都ダルクのスタッフには刑務所での体験を語っていただきます。逮捕からの司法過程や刑務所について正しい情報を学び、仲間との分かち合いを通じ「家族である自分」が依存症者とのどのように関わっていくかを、一緒に考える場にしていきたいと思っています。

  
 
依存症者の家族のためのワークショップ

ピンチをチャンスへ パート2  「刑務所」のことを知ろう

日時:2013630日(日)   13001700

場所:京都DARC デイセンター「マハロ」

講師:大杉光子弁護士、京都ダルクスタッフ

対象:薬物依存症者の家族の方

定員:15名(先着順) ★必ず事前申し込みをお願いします

お問い合わせ、お申込みは京都ダルク(075-645-7105)までお願いします。
 
京都DARCでは、ワークショップだけではなく、毎月第4日曜日の14001600に、依存症者のご家族の心理教育グループ「家族プログラム」を行っています。また、グループの場では、時間に限りがあるために個々の状況をしっかりお聞きすることが難しいこともあります。「これからどうしていくかをもっとしっかり考えたい」「不安や恐怖、怒りでいっぱいで、何も考えられない」など個々のご家族の状況、状態にあわせて、個人カウンセリングでは一緒に考えています。

京都DARCの「依存症者のご家族の心理ケア事業」は、民間助成金及びみなさまからの寄付で運営されています。財政的に厳しい状況のご家族の方にも、必要な心理サービスを提供するために、参加費、カウンセリング料は無料です。これからも、「依存症者のご家族の心理ケア事業」を継続して運営していけますように、みなさまのご支援をよろしくお願い申し上げます。

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