11月18日7時56分配信 産経新聞
覚醒(かくせい)剤や麻薬など薬物依存者の社会復帰をめざす日本初の民間リハビリ施設「日本ダルク」が来年4月、創設25周年を迎える。自らも覚醒剤依存者だった近藤恒夫代表(68)が、その前身である東京ダルクを荒川区に開いたことに始まる。近藤さんは「薬物に依存する人の多くは心に寂しさや痛みを抱えていることを、たくさんの人に知ってもらいたい」と話す。
全国のダルクでは、薬物依存症者たちが共同生活を送りながらミーティング(グループセラピー)などのリハビリを行っている。卒業生たちがスタッフになる形で各地に広がり、現在は全国の約50施設で約600人が暮らす。
近藤さんは船会社の社員だった30歳の時に、仕事のストレスなどから覚醒剤を1度使用して以降、覚醒剤が手放せなくなった。39歳のときに覚せい剤取締法違反容疑で逮捕。拘置所を出所後、回復を誓ってアルコール依存症の回復施設の職員になったが、肝心の薬物依存症患者を助ける施設がなかった。そこで昭和60年4月、支援してくれていた神父が所属する教会近くにあった荒川区東日暮里の一軒家を借り、東京ダルクを開いた。
薬物依存症患者は今でも社会から排除されがちだが、当時は今より病気への理解がなく、“ヤク中”といわれ、刑務所や病院に閉じこめられてきた。しかし、これまでにダルクの門をたたいた人の多くは、幼いころに肉親の愛情に恵まれないなど不遇な生い立ちを抱えていた。刑務所に入ったりしながら、日陰で暮らさざるを得ない人たちを前に、近藤さんは「良くここまで来たね。もう頑張らなくていいよ」と励まし、全員受け入れてきたという。
25年間のうちに、全国のダルクで暮らした人は約2500人。そのうち約300人は病気や自殺などで亡くなったが、多くは回復し、社会復帰を果たしているという。
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