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2010年11月24日水曜日

S高等学校 薬物乱用防止講演での質問と回答

学校講演での感想文の寄せられた質問に施設長加藤氏が回答したものです。

Q:周りの交友関係で薬物をやっていても最初は止めていたけど、最後は自分も使ってしまったのはなぜか?
A:友達の誘いを断れなかった。よく思われようとした。仲間外れになりたくなかった。

Q:京都にどれくらい薬物をやっている人がいるのか?
A:使っている人の人数はとらえにくいので、検挙、補導人数をお答えいたします。
平成20年度 京都府覚せい剤等事犯検挙人員
麻薬、向精神薬取締法違反4人
大麻取締法違反55人
覚せい剤取締法違反199人
毒物及び劇物取締法32人

平成20年度 京都府 未成年者 検挙・補導人員
麻薬、向精神薬取締法違反1人
大麻取締法違反4人
覚せい剤取締法違反5人
毒物及び劇物取締法12人

Q:性欲は強くなるのか
A:覚せい剤はそのような効果もあります。大麻は性欲減退作用があるとも言われており、
薬物によってその効果は様々です。

Q:薬物の入手先とは?
A:最初の薬物の入手先は友人です。徐々に薬物仲間より入手先を知ることとなっていきます。

Q:薬物の名称、隠語?
A:
大麻:(マリファナ、草、はっぱ、ガンジャ、93(くさと読む)、ビシ、チョコ、ハシシ)
MDMA:(エクスタシー、バツ、エックス、X、ばってん)
覚せい剤:(シャブ、S、スピード)

Q:薬物をしている人をやめさせるために日本や世界で行動していることはありますか?
A:アメリカではドラッグコートという薬物の事件を専門に扱う裁判制度があり、処罰だけではなく治療的な取り組みがなされております。ヨーロッパではハームリダクションと言って、薬物の使用によって使用者と社会が被る有害性(感染症の問題・二次的被害等)をいかにして削減するかに重点が置かれた政策が取られており、薬物の個人使用が容認されている国もあります。

Q:どうして大麻がこの世から無くならないのか?
A:大麻は昔から自生の植物であり、麻繊維産業にも使われており、完全にこの世から無くなることはないでしょう。衣類に使われるような安全な利用や使い方を徹底することが大切ではないでしょうか。

Q:ドラッグって誰が考えたのか?
A:元々は役に立つお薬を作ろうとして出来てしまったことが多いようです。覚せい剤も最初は治療薬でした。後に副作用が強く、大きい為に使用をやめ取締りの対象となっていきました。

Q:たばこの何倍やめにくいか?
A:難しい質問ですね。実際、やめはじめのころ、覚せい剤を使いたくなる頻度は、たばこほど頻繁に襲ってきませんが、しかし、たばこより強く使いたい気持ちに襲われます。
やめ続けていく中でたばこの代わりとなるものは多いのですが、覚せい剤の代わりとなるものは少ないので、長期間止めている中での再使用のリスクは覚せい剤のほうが高いように思われます。
ですから、やめはじめはタバコがやめにくく、やめ続けるのは覚せい剤が難しいといった感じでしょうか。

Q:なぜ日本各地にリハビリ施設はないのか?
A:これまで病気としてとらえられず、医療や福祉の対象とされてきませんでした。そのため、薬物問題は司法的な問題として扱われてきました。だからリハビリ施設が造られることもありませんでした。今は医療や福祉の対象とされるようになりリハビリ施設や対応する医療機関も少しずつ増えてきております。

Q:なぜ国に協力を求めないのか?
A:ダルクも協力を訴えてきましたが、なかなか変わらないものです。研究等が行われて少しずつではありますが制度の充実や施策が実施されてきております。

Q:薬物を使った時の感受性の変化について
A:決して良い形での感受性が育つことはありません。逆に受け止める力を失い身勝手になり、被害妄想や勘繰り、空想癖や妄想癖が出てくることが多いでしょう。

Q:被害妄想は薬物を使った時にだけでる症状ですか?
A:薬物を使うことだけではなく精神疾患の場合にも出てくることがあります。

Q:何歳の人が最も依存症になっているのか?
A:いま最も治療的な場面におられるのは30代の依存症の人たちでしょう。そのような人たちに使いだしたころを聞くと、その多くは10代の中頃と回答しています。

Q:薬物をやったら音がきれいに聞こえたとか、映画が今まで以上に迫力がったとか、良いことを教えるのはどうかと思った。もうちょっと教え方や講演の仕方を考えてほしかった。
A:このことについては悩みもしますが、ありのままを知ることで、その危険な場面を知ってほしいのです。薬物との出会いは、「恐ろしいと聞いていたがそんなこともないな、ちょっと楽しいよね」というような拍子抜けの体験です。薬物は、『よすぎる・楽しすぎる』と思わせる。そこに恐ろしさがあるのです。

Q:薬物をやめる時に支えてくれる人はいましたか?
A:支えてくれる人たちはいたのに薬物の魔力のために信じることも頼ることもできずに、ひどくなっていきました。そんな時に同じような体験をしていたダルクの人たちに少し安心感を持ち、助けを求めました。

Q:薬物を使った時に効果や副作用とは
A:覚せい剤は寝られなくなったり疲れを感じにくくさせたりします。副作用は、食欲減退、被害妄想、幻覚など、ろくなことがありません。

Q:薬物依存に正式な病名や学名はありますか?
A:アメリカの標準的な精神障害の診断マニュアル、DSM-Ⅳ(1994)では、アルコールを含む11種類の乱用物質に関係する精神障害のすべてを含めて、物質関連障害(Substance Related Disorders)と言います。
古くは、「薬物中毒」という用語が薬物乱用、依存症の意味で使われていました。この一部が、まだ行政用語の中に残っています。しかし現在では、医学的に、物質使用障害である「乱用・依存」と物質誘発性障害である「中毒・離脱」は概念的に明確に区別されているので注意が必要です。

Q:薬物をすると幻覚が見えるってテレビで見ました。それが、どれぐらいリアルに見えるのか聞きたかった。
A:まさしくあるように、またはいるように見えるようです。実際はないのですが、受ける感覚(怖い、恐ろしいなど)は現実であり

Q:煙タイプの薬物は煙たくならないんですか?
A:大麻の吸うことと覚せい剤を煙にして吸うことはずいぶんと違った感じです。大麻については、たばこの煙たさ程度だと思います。覚せい剤の煙は煙たくなるような煙ではありません。加湿器から出てくる水蒸気のような感じです。若干ですが味と香りがあります。

Q:薬物が違う名前で呼ばれている由来はなぜ?
A:周りの人たちに聞かれても何の話をしているのかわからないようにするためです。

Q:昔、大麻は違反ではなかったのか?
A:第二次世界大戦後、違法となりました。それ以前は、取締りの対象でもありませんでしたし、大麻を吸うということもありませんでした。60年代のアメリカのヒッピー文化とともに日本に伝わってきたようです。

Q:薬物使用の犯罪再犯率は?
A:刑の執行を受けたものが満期釈放、仮釈放、または恩赦により出所した後、再び犯罪を繰り返す比率を再犯率といいます。特に覚せい剤事犯の場合、この再犯率が50%前後と極めて高いのが特徴です。覚せい剤の精神依存性の強さを物語る数字だと思います。

学校講演(地域創造基金)

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